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二人の「突き抜けた」御仁
(つぶやき)台風の接近中はともかく、さすがに、そろそろ動いても・・・。なんでも我慢すると、あとが大きくなるし。小出しを願いたい。

明治時代の時期不明なころ。
とある古本屋で、一冊の奇妙な筆写本が見つかりました。
非常に難解を極める『自然真営道』です。
著者は安藤昌益(あんどうしょうえき)・・・
彼は1700年頃、
東北のどこかで生まれたとしか分からない謎の人物です。

で、この人が書いた本の主題を簡単に記してみると、
宇宙には自然真(しぜんしん)あるいは土活真(どかつしん)と称する実体がある。
それは“宇宙の中心”に存在し、無限に万物を生成してやまない活動の主体。
それは「真」(たましい)であり、宇宙の精神である。
この「真」に働きかけて、直接に交感することで、「転定(てんち)」(天と海)に、
「真」の理想を実現する・・・
つまり、自然と調和していたと思われる、かつての「自然生」の時代
それを取り戻そうとしたようです。
彼は「士農工商」を否定し、
当時の日本の思想の根幹になっていた“孔子や釈迦の教え”も否定しました。
彼いわく
孔子は「身分制度」をつくり、釈迦は「現世からの逃避を促した」・・・というのです。
昌益が生きた時代のシステムからすると、
この考え方は暗殺されてもおかしくないレベルの思想で、
そのため昌益は、直弟子だけにこの思想を伝えるものとし、
「転真敬会」という“秘密結社”を創設して、密かに教えを伝えていました。
安藤昌益は、彼が生きた時代を“はるかに突き抜けた”かのような人だったのです。
さらに彼は、後の日本の世に「正人」なる者が現れて、
「無盗・無乱・無迷・無欲の活真の世」を実現する・・・
と予言めいたことも述べています。
さらに
洪水や凶作、兵乱といった“不測の大災”はすべて、
「人間の邪欲、妄狂の悪念」が原因で、
「それらはみな、人間から発して人間に帰するもの。
宇宙の神霊のせいではまったくない」
と断言しています。
今でも、誰かしらが言いそうな考え方です。
(今の世で新しいとされていることが、すでに昔の日本にはあった)
一方、同時期(1700年代の中頃)
昌益と双璧をなすと言われる傑出した人物で
同じく東北出身の佐藤信淵(のぶひろ)という人。

この御仁も、時代を突き抜けた人で・・・。
彼は『宇内混同秘策』を書き残しています。
この著は
「皇大御国(すめらおおみくに)は
大地の最初に成れる国にして、世界万国の根本なり」
という言葉で始まります。
(これも、現代の、どこかで言われている思想にそっくりです)
で、彼がどんなことを言っているか・・・というと
宇宙の創造者は「産霊神」であって、
世界のすべての創造神もこれにあたる・・・。
(産霊神〔むすび〕とは、
古来より、万物を産んで育てる霊妙を現す言葉で、天地生々の理と言われるもの)
しかしながら・・・この書は
実のところ、日本による「世界征服」書と言えるものを含んでいます。
その“征服計画”は、かなり具体的かつ詳細に示されており、
中国を皮切りに、中央・東南アジアをはじめ、インド方面、
果てはロシアのあたりまで視野に入れているのには驚かされます。
しかも、この人は、
具体的な兵器をつくるための軍事的なテクノロジーについても研究していて、
「自走火船」(ロケット推進を利用した船)や
「毒火玉」(毒ガス弾)さえ考案しています。
ここでよく見ると、「世界征服」のために佐藤が考えていた道筋が
先の大戦のころの、
日本軍の“進軍”具合に酷似しています。
実際、大戦のころには、
この佐藤信淵の“オカルトチックな思想”の部分に傾倒した人々がいて
一説によれば、
彼の著作がベースとなって、「富国強兵」や「八紘一宇」が生じたと言われています。

事実、関東軍作戦参謀として名をはせた石原莞爾(いしはらかんじ)は、
信淵が唱えた思想の実践者で、
石原の構想を受け入れた軍部は、「満州国」を創立しています。
この安藤さんと佐藤さん・・・という二人の御仁。
しばしば、
前者が自然派であった「ムー文明」
後者が科学技術を推進した「アトランティス文明」の生き方を汲んでいる・・・と
囁かれたりします。
(注:本来、ムー文明の記憶が残る土地を、アトランティス文明の流れをくむかもしれない
信淵の思想に基づいて、日本軍が進軍して行ったというのは注目すべきところです)

で・・・もし
日本が世界の中心である・・・と思うとき
佐藤信淵の考え方の方向に進んでしまうと
“新たな大戦”をどこかの時点で引き起こす可能性が高くなります。
また、安藤昌益の思想に従ったとしても、
誰が「正人」かの見極めは難しく
その出現をひたすら待つだけでは埒があきません。
また、彼の思想についての解釈を取り違えると
かつてレーニンが佐藤信淵の提唱した「すべての平等性」を賞賛したように
共産主義的な誤った方向にひきずられそうになったり
自然に執着しすぎて“文明の先祖返り”を起こす可能性をはらんでいます。
つまり、両者のどちらもが完全というわけでなく・・・
熟考が必要です。
ですが、今の日本の思想形態には、
なかなか気づきにくい、
こうした「過去の道」を、もう一度辿るような
「姿」を変貌させた“危うい火ダネ”が潜んでいるのです。
いずれにしても、
今後の日本が辿る道は、集団意識の決定によるところ・・・。
多くの人が、どのような新しい「世界観」を抱くかにかかっています。
ですがその際、吟味せずに人伝えの情報を鵜呑みにしてしまうと
安易な主張や喧伝がまかりとおり、
火ダネを災禍に育ててしまうことになるでしょう。
たとえ「正人」が出現しなくとも
多くの人が、安藤昌益の言わんとする自然志向の理想の生き方ができて
佐藤信淵の思い描いたように、
どのように世界へ進出していくのがいいかを、現代的・科学的に考察していくなら、
日本は人道的・経済的・平和的に、大きな変化を起こすことができます。
これは、
かつて敵対したムーとアトランティスの良いところを融合させる試み・・・と言えるもの。

海外からの思索形態だけが
世界や意識を変えるものではありません。
この日本の国に起きたことを、改めて正しく把握すると
新たな精神的な道筋が見えてくるでしょう。
そのための道標は、今は軽んじられ、忘れがちになっている
日本人が古来より備えていた、健全な「心のありかた」、
日本人らしい、素朴でまっとうな「生き方」の向かう先にあります。
それが・・・どれだけの「鼻力」を
いや、「力」を

・・・持っているか・・・
世界は、そして、日本の人たちはまだ・・・それほどわかっていません。


明治時代の時期不明なころ。
とある古本屋で、一冊の奇妙な筆写本が見つかりました。
非常に難解を極める『自然真営道』です。
著者は安藤昌益(あんどうしょうえき)・・・
彼は1700年頃、
東北のどこかで生まれたとしか分からない謎の人物です。

で、この人が書いた本の主題を簡単に記してみると、
宇宙には自然真(しぜんしん)あるいは土活真(どかつしん)と称する実体がある。
それは“宇宙の中心”に存在し、無限に万物を生成してやまない活動の主体。
それは「真」(たましい)であり、宇宙の精神である。
この「真」に働きかけて、直接に交感することで、「転定(てんち)」(天と海)に、
「真」の理想を実現する・・・
つまり、自然と調和していたと思われる、かつての「自然生」の時代
それを取り戻そうとしたようです。
彼は「士農工商」を否定し、
当時の日本の思想の根幹になっていた“孔子や釈迦の教え”も否定しました。
彼いわく
孔子は「身分制度」をつくり、釈迦は「現世からの逃避を促した」・・・というのです。
昌益が生きた時代のシステムからすると、
この考え方は暗殺されてもおかしくないレベルの思想で、
そのため昌益は、直弟子だけにこの思想を伝えるものとし、
「転真敬会」という“秘密結社”を創設して、密かに教えを伝えていました。
安藤昌益は、彼が生きた時代を“はるかに突き抜けた”かのような人だったのです。
さらに彼は、後の日本の世に「正人」なる者が現れて、
「無盗・無乱・無迷・無欲の活真の世」を実現する・・・
と予言めいたことも述べています。
さらに
洪水や凶作、兵乱といった“不測の大災”はすべて、
「人間の邪欲、妄狂の悪念」が原因で、
「それらはみな、人間から発して人間に帰するもの。
宇宙の神霊のせいではまったくない」
と断言しています。
今でも、誰かしらが言いそうな考え方です。
(今の世で新しいとされていることが、すでに昔の日本にはあった)
一方、同時期(1700年代の中頃)
昌益と双璧をなすと言われる傑出した人物で
同じく東北出身の佐藤信淵(のぶひろ)という人。

この御仁も、時代を突き抜けた人で・・・。
彼は『宇内混同秘策』を書き残しています。
この著は
「皇大御国(すめらおおみくに)は
大地の最初に成れる国にして、世界万国の根本なり」
という言葉で始まります。
(これも、現代の、どこかで言われている思想にそっくりです)
で、彼がどんなことを言っているか・・・というと
宇宙の創造者は「産霊神」であって、
世界のすべての創造神もこれにあたる・・・。
(産霊神〔むすび〕とは、
古来より、万物を産んで育てる霊妙を現す言葉で、天地生々の理と言われるもの)
しかしながら・・・この書は
実のところ、日本による「世界征服」書と言えるものを含んでいます。
その“征服計画”は、かなり具体的かつ詳細に示されており、
中国を皮切りに、中央・東南アジアをはじめ、インド方面、
果てはロシアのあたりまで視野に入れているのには驚かされます。
しかも、この人は、
具体的な兵器をつくるための軍事的なテクノロジーについても研究していて、
「自走火船」(ロケット推進を利用した船)や
「毒火玉」(毒ガス弾)さえ考案しています。
ここでよく見ると、「世界征服」のために佐藤が考えていた道筋が
先の大戦のころの、
日本軍の“進軍”具合に酷似しています。
実際、大戦のころには、
この佐藤信淵の“オカルトチックな思想”の部分に傾倒した人々がいて
一説によれば、
彼の著作がベースとなって、「富国強兵」や「八紘一宇」が生じたと言われています。

事実、関東軍作戦参謀として名をはせた石原莞爾(いしはらかんじ)は、
信淵が唱えた思想の実践者で、
石原の構想を受け入れた軍部は、「満州国」を創立しています。
この安藤さんと佐藤さん・・・という二人の御仁。
しばしば、
前者が自然派であった「ムー文明」
後者が科学技術を推進した「アトランティス文明」の生き方を汲んでいる・・・と
囁かれたりします。
(注:本来、ムー文明の記憶が残る土地を、アトランティス文明の流れをくむかもしれない
信淵の思想に基づいて、日本軍が進軍して行ったというのは注目すべきところです)

で・・・もし
日本が世界の中心である・・・と思うとき
佐藤信淵の考え方の方向に進んでしまうと
“新たな大戦”をどこかの時点で引き起こす可能性が高くなります。
また、安藤昌益の思想に従ったとしても、
誰が「正人」かの見極めは難しく
その出現をひたすら待つだけでは埒があきません。
また、彼の思想についての解釈を取り違えると
かつてレーニンが佐藤信淵の提唱した「すべての平等性」を賞賛したように
共産主義的な誤った方向にひきずられそうになったり
自然に執着しすぎて“文明の先祖返り”を起こす可能性をはらんでいます。
つまり、両者のどちらもが完全というわけでなく・・・
熟考が必要です。
ですが、今の日本の思想形態には、
なかなか気づきにくい、
こうした「過去の道」を、もう一度辿るような
「姿」を変貌させた“危うい火ダネ”が潜んでいるのです。
いずれにしても、
今後の日本が辿る道は、集団意識の決定によるところ・・・。
多くの人が、どのような新しい「世界観」を抱くかにかかっています。
ですがその際、吟味せずに人伝えの情報を鵜呑みにしてしまうと
安易な主張や喧伝がまかりとおり、
火ダネを災禍に育ててしまうことになるでしょう。
たとえ「正人」が出現しなくとも
多くの人が、安藤昌益の言わんとする自然志向の理想の生き方ができて
佐藤信淵の思い描いたように、
どのように世界へ進出していくのがいいかを、現代的・科学的に考察していくなら、
日本は人道的・経済的・平和的に、大きな変化を起こすことができます。
これは、
かつて敵対したムーとアトランティスの良いところを融合させる試み・・・と言えるもの。

海外からの思索形態だけが
世界や意識を変えるものではありません。
この日本の国に起きたことを、改めて正しく把握すると
新たな精神的な道筋が見えてくるでしょう。
そのための道標は、今は軽んじられ、忘れがちになっている
日本人が古来より備えていた、健全な「心のありかた」、
日本人らしい、素朴でまっとうな「生き方」の向かう先にあります。
それが・・・どれだけの「鼻力」を
いや、「力」を

・・・持っているか・・・
世界は、そして、日本の人たちはまだ・・・それほどわかっていません。

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