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小さい「ネジ」のつぶやき・・・

Posted by 世羽 on 18.2013 道草   0 comments   0 trackback
(つぶやき)
Mさん・・・鍵つきの・・・ほんとうにありがとうございました。

と・・・少し地下が不安定になってきた。


la-古き良き時代ふうなimage


ひと昔前、日本に「国語読本」というものがありました・・・。

それらは復刻され
今では、購入したり、ネットで読んだりできます。

そんな「読本」を見ると、
当時の日本人の教育水準がズバ抜けていた様子がうかがえて
ちょっと誇らしい気持ちになります。

教えている内容に深みがあるというか・・・。
小学生のころから、こうしたものを眼にしていたのには
頭が下がります。
また、言葉使いも綺麗だった・・・と感慨が湧きます。

このころと言えば

各世代において見られるそれぞれの文章力も、
今では失われた感さえある「品格」や「重厚さ」を宿しており、
高い感性の現れ・・・が感じられ、
いつも、凄い!・・・と思わされること、しきりです。


国語読本のimage



そんな「国語読本」の12巻・第12課
とある話が載っています。

注:原文は、旧かな・漢字使いですが、
読みやすさを優先して、ところどころ現代表記に書き直してみました。
趣きを残すために、古めの漢字の使い方は残しています。
改行など変えてありますが・・・ご容赦を)


小さなネジ


暗い箱の中にしまい込まれていた小さな鉄のネジが
不意にピンセットにはさまれて、明るいところへ出された。


ネジは驚いてあたりを見廻したが、
いろいろの物音、いろいろの物の形がごたごたと耳に入り
眼に入るばかりで、何が何やらさっぱりわからなかった。

しかし段々落ち着いて見ると、此処は時計屋の店であることが
わかった。



レトロな時計屋さんのimage


自分の置かれたのは、仕事台の上に乗っている小さなふたガラスの中で
そばには小さな心棒や歯車やぜんまいなどが並んでいる。
きりやネジ廻しやピンセットや小さな槌やさまざまな道具も、
同じ台の上に横たわっている。

周囲の壁やガラス戸棚には、いろいろな時計がたくさん並んでいる。


かちかちと気ぜわしいのは置時計で、
かったりかったりと大ようなのは柱時計である。


ネジはこれらの道具や時計をあれこれと見比べて、
あれは何の役に立つのであろう、
これはどんな処に置かれるのであろう
などと考えているうちに、
ふと自分の身の上に考えおよんだ。



時計のネジなimage


「自分は何という小さい情けない者であろう。
あのいろいろの道具、たくさんの時計、形も大きさもそれぞれ違ってはいるが、
どれを見ても自分よりは大きく、自分よりは偉そうである。

ひとかどの役目を務めて世間の役に立つのに、どれもこれも不足は無さそうである。
ただ自分だけが
此のように小さくて、何の役にも立ちそうにない。
ああ、何という情けない身の上であろう」


不意にばたばたと音がして、小さな子供が二人奧から駆けだして来た。
男の子と女の子である。

二人は其処らを見廻していたが、
男の子はやがて仕事台の上の物をいじり始めた。

女の子はただじっと見まもっていたが、
やがてかの小さなネジを見つけて
「まあ、かわいいネジ」


男の子は指先でそれをつまもうとしたが、あまり小さいのでつまめなかった。
二度、三度。やっとつまんだと思うと直ぐに落としてしまった。
子どもは思わず顔を見合わせた。
ネジは仕事台の脚の陰にころがった。



時計屋さんと子供のimage


此の時大きなせきばらいが聞こえて、父の時計師がはいって来た。
時計師は
「此処で遊んではいけない」
といいながら仕事台を見て、出しておいたネジの無いのに気がついた。


「ネジが無い。
誰だ、仕事台の上をかき廻したのは。
ああいうネジはもう無くなって、あれ一つしか無いのだ。

あれが無いと町長さんの懐中時計が直せない。探せ、探せ」


ネジはそれを聞いて、飛び上がるようにうれしかった。

それでは自分のような小さな者でも役にたつことがあるのかしらと、
夢中になって喜んだが、このような処にころげ落ちてしまって、
もし見つからなかったらと、それがまた心配になってきた。


親子は総掛かりで探し始めた。

ネジは「此処に居ます」と叫びたくてたまらないが、口がきけない。
三人はさんざん探し廻って見つからないのでがっかりした。
ネジもがっかりした。


その時、今まで雲の中に居た太陽が顔を出したので、
日光が店いっぱいにさし込んできた。
するとネジがその光線を受けてぴかりと光った。

仕事台のそばに、ふさぎこんで下を見つめていた女の子がそれを見つけて、
思わず「あら」と叫んだ。
父も喜んだ。
子どもも喜んだ。
しかも一番喜んだのはネジであった。


時計師は早速ピンセットでネジをはさみ上げて、
大事そうにもとのふたガラスの中へ入れた。
そうして一つの懐中時計を出してそれをいじっていたが、
やがてピンセットでネジをはさんで機会の穴にさし込み、
小さなネジ廻しでしっかりとしめた。

龍頭(りゅうず)を廻すと、今まで死んだようになっていた懐中時計が、
たちまち愉快そうにかちかちと音を立て始めた。



時計の修理的なimage


ネジは、自分が此処に位置を占めたために、
この時計全体が再び活動することが出来たのだと思うと、
うれしくてうれしくてたまらなかった。


時計師は仕上げた時計をちょっと耳に当ててから、
ガラスの戸棚の中につり下げた。


一日おいて町長さんが来た。

「時計は直りましたか」
「直りました。ネジが一本いたんでいましたから、取りかえておきました。
具合の悪いのはそのためでした」といって渡した。

ネジは
「自分も本当に役に立っているのだ」と心から満足した。




時計(懐中)のimage



たわいのないことかもしれませんが・・・。

今、多くの人が新鮮なこととして伝えている
「個人」が全体に与える重要性・・・といったものを
このとき、すでに教えているのがわかります。

しかも、

小学児童を“単なる子供”としてあなどって見るのではなく、
大人の言わんとするレベルで
率直に子供に伝えています。

子供は子供らしく育つのが何よりです。
でも、それに加えて
日々の生活のなか、たかが子供・・・と割り切らず
ときに、こうした話を読み聞かせしていた先人たちに倣うのは
なかなか味があっていい・・・。

子供らしさを失うことなく、深く考えてもらう・・・。

大人であれば、「子供心」を失わずに、
深く物事を捉える・・・

これらの読本を見ると、
当時の人がそんなふうに教育をしていたことが感じられて
実に面白いです。


時計屋のお爺さんなimage


とにもかくにも、
このように歴史のなかに残された日本の素敵な姿・・・
改めて誇りにしたい・・・と思ったしだいで。




レトロなimage




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Author:世羽
心のなかに響く声なき「声」を、ひっそりと語ろう・・
ふと、そう思いたった無名の求道者(?)・・です。
すべての人が幸せに
喜びに満ちて生きることができますように祈っています

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